PROJECT - STORY
プロジェクトストーリー

リョーデン初の農業ビジネス。
植物工場「BlockFARM」プロジェクト。

2016年に完成した植物工場「BlockFARM」。このプロジェクトは、植物栽培のノウハウを持つファームシップ様と専門商社であるリョーデンとの連携で生まれた完全閉鎖型コンテナ植物工場です。
プロジェクト設立前から現在まで、「BlockFARM」を支えるプロジェクトリーダーの神戸亨太に一大プロジェクトの舞台裏に迫った。

ソリューション事業本部 スマートアグリ事業推進部神戸 亨太

いきなりの出向で、
1年間の農業ビジネス修行。
2014年の夏、神戸はいきなり辞令を命じられた。それは農業ベンチャーであるファームシップ様に1年間出向するというものだった。実家が農家を営んでいることから、神戸に白羽の矢が立った。
農業分野への進出を模索していたリョーデン。そんなとき、パートナー様から植物栽培のノウハウを持つファームシップ様を紹介された。同社は多くの人に野菜を購入してもらうためのアイデアはあるものの、具現化する人手と技術が不足していた。一方リョーデンは、植物工場の事業化を目指していたが、植物栽培の知見やノウハウがほとんどなかった。目的は同じ「植物工場づくり」。お互いを補完し合うために連携することに。神戸は栽培の知識やノウハウを吸収するため、ファームシップ様に出向となったのだった。
「なんでもチャレンジさせてもらいました。」その言葉どおり、1年間植物栽培~販売まで一通りの実務に携わった。ときには、スーパーでエプロンをかけ試食販売を行い、営業も設計も植物工場での作業にも取り組んだ。
素人集団でつくり上げた
植物工場。
2015年夏、出向解除とともに、神戸は現在のグループリーダーである北山が所属する新事業開発部に合流。ファームシップ様との「BlockFARM」プロジェクトが本格的に始動した。合流した直後、2つの挑戦に直面した。一つは、植物栽培のためのオリジナルシステム開発。もう一つは、40フィートコンテナ型植物工場「BlockFARM」の開発であった。
その背景には、植物工場ビジネスはデファクトスタンダードがまだ確立されていないことが関係していた。そのため、自分たちでハードウェアからソフトウェア、クラウドを含めたシステム開発まで対応する必要があり、苦労が絶えなかった。
いよいよ、コンテナ型植物工場の評価機の運用がはじまった。「種の巻き方ひとつでも、野菜が育たない。」と神戸は当時の大変さを振り返る。「ほんと泥臭いんです。」毎日室内の温度、湿度、液肥の濃度を変えながら栽培条件をひとつずつ確立。チーム全体で日々発生するトラブルにも愚直に向き合った。真冬は結露が発生しやすく、工場が水浸しになることも。トラブルが発生すれば休日でも駆けつけ、植物工場を守った。
何度となくトライ&エラーを繰り返し、つくり上げられた40フィートコンテナ型植物工場「BlockFARM」。オリジナル植物栽培システムは、主力事業である電子デバイス・FAシステム・冷熱システムを集約し、IoTも取り入れることで、リョーデンにしかつくれないものが完成。そして、開発から評価まで約1年をかけ「BlockFARM」の製品化に成功した。
ゼロからつくり上げたから、
手に入れられたこと。
社内でも新規事業の立上成果が認められ、2017年植物工場開発チームとして社長賞を受賞。新事業開発の一グループ(課)での活動から、「スマートアグリ事業推進部」へ昇格した。
「自分たちでつくったから、お客様のどんなご要望にも対応できる。」と神戸は自負している。例えばお客様から10億円の植物工場を7億円にしてほしいと言われたとき、他の会社は企画設計から栽培評価までの経験値がないため、アイデアを出すことができない。リョーデンには独自のノウハウと経験がある。その強みを活かし、仕様や設計内容をどの様に改善すればコストを抑えられるのかを即座に検討し、専門性の高い提案により、お客様のご要望を具現化できる。
また、ビジネスの川上から川下まで携われるのは、リョーデンにとって新たな収穫になった。通常のビジネスはゼネコンや機器メーカーへの部品販売や開発の一部を担うことが多い。しかし、植物工場ビジネスは植物工場の開発支援〜機器導入・施工・保守管理、パートナー様との連携による育成コンサルまで、ビジネス全体を動かせる。最終のお客様と直接ビジネスできることは、リョーデンの仕事の領域を広げる大きな成果につながった。

やっと努力が実を結んだ今。
国内だけでなく、世界を視野に。
地道な努力が成果となり、2016年には20フィートコンテナ型植物工場の開発、製品化にも成功。そして、今までの植物工場の経験を活かし、2017年、初の大規模案件として、富士山グリーンファーム(静岡県富士市)を受注した。
「BlockFARM」の今後については、既存建物を活用した「リノベーション型植物工場」への展開も考えている。そして、もっと大きな植物工場にも注力していきたいと考えている。そのためにも、日本での効率的な生産方法の確立。さらに「きくらげ」などの国内産のシェアが少ない高付加価値商品へのシフトチェンジを目指している。そして、国内市場が落ち着いたあかつきには、今後市場が拡大される東南アジアを中心に海外展開へ。「BlockFARM」は、さらなる夢に向かって、突き進んでいく。
最初は内心戸惑いました。農家の息子とはいえ、全然手伝ってきていなかったので。でも、いまでは回すのが精一杯なくらい、お引き合いをいただけて、とてもうれしいです。植物工場と言えば、リョーデンと言われるよう、がんばっていきたいと思っています。
ソリューション事業本部 スマートアグリ事業推進部
神戸亨太 2013年入社